ネオニコチノイド系農薬は神経毒、食べ物、家庭用殺虫剤、建材として、あなたの身近に迫っています
ネオニコチノイドをご存じですか。
洗っても落ちない「浸透性」と長期に残留する「残効性」に加え、「神経毒性」が強いことが分かり、生態系や人間への脅威となっている殺虫剤「ネオニコチノイド系農薬」。
最近になって、たとえ少量のネオニコチノイドでも、生きものに悪影響があることがわかってきました。
市販され始めた当初、長期的な毒性やヒトを含む生態系への影響はほとんどわかっておらず、安全性が明確に示されないまま大量に使われてきましたが、人と同じ哺乳類のマウスを使った実験では、行動の変化や神経への影響が見つかっています。
ネオニコチノイド系農薬を曝露されたマウスは、壁際を好み、中心区画を避ける傾向など、不安行動異常などの各種行動異常を示すことを明らかにしました。
最新の研究や規制の動向を abtさんが編集してくれていますので転載します。
日本では害虫駆除の農薬として1992年に国内で初めてネオニコチノイド系農薬が登録され、1993年頃から使用されるようになりました。
このころから、日本国内では島根県宍道湖におけるウナギとワカサギの激減や、欧米では、ミツバチの大量失踪など怪奇な現象が起こり始めました。
そのエビデンスを踏まえ、オニコチノイド系農薬の危険性を、科学者が警告しています。
1.ネオニコチノイドは農薬、家庭用殺虫剤、建材として、あなたの身近に迫っています。
ネオニコチノイド系農薬とは、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムという化合物を含む農薬です。
主に昆虫に作用する強い神経毒性をもち、野菜や果樹、米、麦などの農作物向け殺虫剤成分として使用され、いまや世界で使用される農薬の 4 分の 1 近くを占めています。
シクロキサプリド、イミダクロチズ、パイコングジング、スルホキサフロル、グアジピル、フルピラジフロンなど、同じ作用機序をもつ農薬が製品化されており、今後も類似した化合物がさらに開発される可能性があります。
同様の毒性がある化合物フィプロニル(フェニルピラゾール系)と合わせて「浸透性殺虫剤」とも呼ばれます。
ネオニコチノイドとフィプロニルは、農作物だけではなく林や街路樹にも施用され、身近な家庭用殺虫剤や建材にも含まれています。
2.ネオニコチノイドは水に溶けて植物の中に入り込み、川や海も汚染します。
農地に使われたネオニコチノイドは、水に溶けて土壌や地下水、河川、海中に広がります。
環境中の濃度はあまり詳しく調べられていませんが、調査が行なわれた場所の多くでは、ネオニコチノイドとフィプロニルが検出されています。
市場に流通する農産物にも残留している場合があります。
3.ネオニコチノイドは長いあいだ残留し、分解されても毒性が続きます。
ネオニコチノイドは「一度使うと長く効く」ことが重宝されている殺虫剤です。とくに土壌中では数ヶ月から、場合によっては数年間も毒性が持続します。
水に溶けやすい性質との相乗作用で、農地だけでなく周辺の植物、土壌、水系にも広く汚染をもたらし、毒性が蓄積する可能性があります。
また、ネオニコチノイドの代謝物(環境中で分解してできた化合物)の毒性は、元の成分と同程度か、元の成分より高くなる場合もあります。
また、他の殺虫剤や殺菌剤と併用することによって、無脊椎動物への毒性に相乗効果が生じる場合があることもわかりました。
4.ネオニコチノイドは「害虫」以外の生きものも脅かします。
農地の外にも流出し、毒性が長期間持続するので、農薬の対象となる「害虫」以外の生物にも悪影響を及ぼします。
これまで農薬の毒性を測るために使われてきた測定方法(生物個体を対象にした実験室での短期毒性実験)は、一部の生物種への直接的な急性影響を測るだけで、空気や水など複数の経路を通じて幅広い生物種に与える慢性影響は測定できません。
数多くの生きものに影響を及ぼすため、生物多様性を損ない、生態系全体を脅かすことが心配されています。
5.たとえ少量のネオニコチノイドでも、生きものに悪影響があることがわかってきました。
神経毒としてのネオニコチノイドが引き起こす可能性のある慢性障害には、嗅覚や記憶の障害、生殖能力の低下、採食行動の異常と摂食量の低下、飛行困難、病気にかかりやすくなることなどが挙げられます。
このような死亡に至らない影響が、個体群や生物群集の存続にかかわる可能性も指摘されています。また、きわめて低用量のネオニコチノイドであっても、長時間曝露し続けると1週間から数週間後に大量死する現象が複数の無脊椎動物で観察されており、再生不能な神経細胞の死滅が継続して起こる「時間累積毒性」が原因であると考えられています。
いっぽう急性毒性を見ると、ミツバチに対するネオニコチノイドの毒性は DDT の 5,000〜10,000 倍というデータがあります。
けれども、大多数の生物種に対する毒性はまだ調査されていません。
アブやチョウはもちろん脊椎動物に対する毒性試験データも限定されています。
・ ミツバチとその他のポリネーター(花粉媒介昆虫)深刻な危険性が確認されています。
野外で実際に計測される濃度で、個体の飛行能力、学習・記憶能力、体温調節、採餌能力、寿命、病気や寄生虫への抵抗力、生殖能力、卵の孵化率に悪影響があります。
マルハナバチでは、採餌障害や免疫障害のほか、コロニー(巣の集団)全体に影響が及び、採集する花粉量が減少し、集団が大きくなる速度が遅くなり、女王バチの発生数が著しく低下します。
・ 害虫の天敵昆虫
アブラムシやハダニを食べるテントウムシ類に、捕食能力、生存期間、繁殖力などの著しい低下が生じます。
ヨトウムシやイエバエなどの卵などに寄生するハチへの毒性も報告されています。
・ ミミズなど陸生無脊椎生物
土や植物、水を通じて、低濃度でも悪影響を受けます。摂食障害などの行動異常から致死にまで及びま
す。生態学的に重要な種への影響研究はあまり進んでいません。
・ ミジンコなど水生無脊椎動物
水や植物を通じて、摂食行動の異常、成長障害、行動性低下などの悪影響をこうむります。高濃度では水
生昆虫の数と種類が減ってしまいます。
・ 鳥類ほか脊椎動物
おおむね影響を受けにくいとされますが、鳥類は汚染された種子を食べる危険性があり、爬虫類は餌となる昆虫が少なくなったため、個体数が減少していることがわかっています。
微生物、魚類、両生類も、ネオニコチノイドに慢性的にさらされることで悪影響を受けることがわかりました。
日本の宍道湖での調査では、ネオニコチノイドにより餌となる無脊椎動物が減少し、ウナギやワカサギの減少の間接的な原因となったことが指摘されています。
6.人間への悪影響も懸念されます。
ネオニコチノイドは人体への悪影響が懸念されています。たとえば、アセタミプリドとイミダクロプリドでは、記憶や学習と関わる脳と神経の発達に悪影響を及ぼすという研究結果も報告されています。
ヒトの尿中からアセタミプリド代謝物やチアメトキサムが検出され、記憶障害などの自覚症状を訴える人たちからは、より高い頻度で検出されたという研究もあります。
新生児の尿からもネオニコチノイドが検出され、母親の摂取した食物から胎盤を通過して胎児に移行した可能性が指摘されています。
発達神経毒性についても、さらなる調査が必要です。
ネオニコチノイドの哺乳類への影響(とくに脳の機能と発達への影響)調査の重要性は、化学物質のリスクを減らすための課題のひとつとして、国連環境プログラム(UNEP)の年報(2013 年)にも取り上げられました。
7.被害が起きる前に使うことで、逆に害虫被害を広げてしまう可能性があります。
ネオニコチノイド系農薬を害虫被害が生じる前に予防的に使うことによって、受粉を助けたり害虫を捕食したりする生物に深刻な悪影響を及ぼす可能性が高まります。
種子を農薬でコーティングする、イネの苗土に混ぜ込むといった予防的施用(prophylactic use)が広く行なわれることは、農薬のみに依存しない総合的病虫害管理(Integrated Pest Management=IPM)の原則にも反し、益虫を減らして農業に悪影響を与えかねません。
このような使い方をしても、収量の増加にはつながらず、害虫の殺虫剤耐性を強める可能性があります。
8.各国は規制強化、日本では逆行して残留基準の緩和が行なわれています。
EU では 2017 年にフィプロニルが登録失効し、2018 年にクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの屋外使用が禁止されました。
フランスでは、ネオニコチノイド 5 種を全廃する政令を 2018 年に公布しました。
韓国や、各国の州および都市単位でも同様の措置が広がっています。
ところが日本では、2015 年にアセタミプリドとクロチアニジン、2016 年にチアメトキサム、2018 年にジノテフランとフィプロニルの残留基準値が緩和されるなど、世界の動きと逆行する傾向が懸念されています。
このような現状を受けて、日本弁護士会は 2018 年に農林水産大臣に対し、「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」を送付し、ネオニコチノイド系農薬およびフィプロニルの暫定的登録停止と販売や使用の禁止、コメの着色粒基準の廃止を訴えています。